バイクのエンジンブレーキとは
エンジンの回転数を自然に任せて落とし、それによって減速することをエンジンブレーキと言います。
車でも使われるエンジンブレーキですが、バイクの場合はスロットルを開放しないで運転すると自然とエンジンの回転数が下がってくるため、それに伴って勝手に制動力も働くという仕組みです。
加えて、エンジンブレーキでエンジンの回転数を落としつつ、それに伴ってシフトダウンをすることでより強力な制動力を得ることができます。
これを効果的に用いれば、ふつうのブレーキをあまり使わなくてもスムーズに停車することも可能です。
また、エンジンブレーキには、ブレーキパッドに負担をかけずに減速できるというメリットもあります。
通常のブレーキではブレーキパッドが少しずつ摩耗していきます。
限界まで摩耗するとブレーキが効かなくなるので、その前に交換しなければなりません。
しかし、ブレーキパッドを交換するとなるとそれ相応の費用がかかります。
その点エンジンブレーキを有効に使うことで、なるべくブレーキパッドを摩耗させないよう温存でき、交換頻度を下げることが可能になるのです。
エンジンブレーキにはもう一つメリットがあります。
それは、ブレーキ操作で発生しやすいフェード現象を抑制できることです。
たとえばカーブが連続するような下り坂では、頻繁にブレーキをかけることによって、たび重なる摩擦によりブレーキパッドが熱を持ってしまいます。
あまり熱くなりすぎると摩擦材が気化して、そのガスがブレーキパッドとブレーキディスクの間に入り込み、ブレーキがしっかり効かなくなることがあるのです。
エンジンブレーキを使うことでそれが防げます。
エンジンブレーキの使い方や活用の仕方
エンジンブレーキは、徐々にエンジンの回転数を落としつつ減速していく方法ですから、停止までにある程度の距離を要します。
そのため、停止したい位置まである程度の距離がある時に使用するのが有効です。
まだ距離のある信号が点滅を始めた場合、もしくは、ゆるやかな下り坂でカーブを曲がる場合などに用いるとよいでしょう。
とはいえ、エンジンブレーキのみで完全停止しようとするのは、状況によっては危険です。
状況に応じて前後輪のブレーキも活用しつつ、スムーズに停止できるようにしましょう。
具体的な活用の仕方は次のとおりです。
まず、スロットルを戻すことでエンジンブレーキを始めます。
次にブレーキペダルには遊びがありますが、その遊びの分まで一息に踏み込んでからじわっと踏み込んでいきます。
またブレーキレバーは急に握りしめたりせず、ほんの軽くだけ握っておきましょう。
減速するに伴い、最終的に停止したい位置にぴったり停止できるように微調整するために使うのがコツです。